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原油を取引する商品は何があるのか — 現物・先物・ミニ先物・CFD・ETF・国内商品先物の違い

個人が「原油を買う」とき、実際に買っているのは原油そのものではなく、原油の価格に連動する何らかの金融商品です。その商品は大きく、先物・CFD・ETF/ETN・株式の 4 種類に分かれ、さらに先物には限月の違い、CFD にはスポット型と先物型の違いがあります。どれも「原油が上がれば利益」という点は同じですが、満期の有無・レバレッジ・保有コスト・ロールの影響がまるで違い、その違いが長期の成績を大きく左右します。本章では、各商品の仕組みと向き不向きを解説します。

公開 · 執筆 boobook.ai 編集部

現物と先物 — 原油市場の土台

現物取引は、実際の原油をタンカーやパイプラインで受け渡す取引で、産油国・石油会社・商社・製油所の間で行われます。1 回の取引が数十万バレル単位で、貯蔵設備も必要なため、個人が参加することはありません。ただし現物の価格(Platts 等の査定)は、先物や CFD の最終的な拠り所であり、第 1 章の指標原油はこの現物価格を基準にしています。

先物は、「将来の決まった月に、決まった量の原油を、いま決めた価格で売買する」契約を取引所で売買するものです。世界の原油価格を実質的に決めているのはこの先物市場で、代表が CME グループ(NYMEX)の WTI 先物(ティッカー CL)と ICE のブレント先物(B)です。

  • WTI 先物(CL)— 1 枚 = 1,000 バレル。呼値 0.01 ドル / バレル(= 1 枚あたり 10 ドル)。満期まで持てばクッシングで現物を受け渡す(個人は満期前に必ず決済する)。
  • ブレント先物(B)— 1 枚 = 1,000 バレル。現物受渡しはなく、満期に ICE ブレント指数で現金決済。
  • E-mini WTI(QM、500 バレル)・マイクロ WTI(MCL、100 バレル)— 小口の WTI 先物。どちらも現金決済で、個人が先物で原油を取引するときの現実的な入口。
  • オプション — 先物を原資産とする権利の売買。OVX(原油ボラティリティ指数)はこの価格から算出される。

CFD — 「スポット型」と「先物型」の違いを知る

CFD(差金決済取引)は、証券会社・FX 会社を相手に原油の価格差だけをやり取りする商品で、日本の個人が原油を取引する最も一般的な手段です。レバレッジがかけられ、少額から売りからも入れます。原油 CFD には 2 つの型があります。

スポット型(期限なし CFD)は、先物の期近 2 限月などから合成した「満期の無い価格」を取引します。限月やロールを意識せずに保有できる一方、先物カーブの傾き(コンタンゴ / バックワーデーション)に相当するコストや受取が、日々の金利調整(スワップ・ファンディング)として口座に反映されます。「ロールが無い」のではなく「ロールが毎日少しずつ価格や調整額に溶けている」と理解するのが正確です。

先物型(期限あり CFD)は、特定の限月の先物価格をそのまま取引します。満期が来ると次の限月へ自動で乗り換えられ、限月間の価格差は損益に影響しないよう調整額として処理されるのが一般的です。どちらの型かは会社と銘柄で異なり、取引説明書に必ず記載されています。

ETF/ETN・国内商品先物・エネルギー株

原油 ETF/ETN は、証券口座で株式と同じように売買できる原油連動商品です。米国の USO や、東京証券取引所に上場する WTI 原油価格連動型の ETF/ETN が代表です。中身は先物で、満期前に次の限月へロールし続けるため、先物カーブがコンタンゴの局面では原油価格が横ばいでも基準価額が下がっていきます(ロールコスト、第 3 章)。「原油価格そのもの」への長期投資には向かない、というのが 2020 年に多くの個人投資家が学んだ教訓です。

国内の商品先物では、大阪取引所(旧東京商品取引所)に中東産原油(Platts ドバイ)を対象とする先物が上場しています。円建て・キロリットル単位で、ドバイ価格の月間平均で現金決済されます。為替の影響を含んだ「日本の輸入原油価格」を取引する商品と言えます。

石油会社やエネルギー株、エネルギー株 ETF は、原油価格に加えて企業の生産コスト・配当・株式市場全体の影響を受けます。原油と同じ方向に動く傾向はありますが、原油価格の代替ではありません。原油が急騰しても株式市場が急落していれば下がることもあります。

読み方の注意: 商品を選ぶときの 4 つの確認点

どの商品にも向き不向きがあります。短期の値動きを取引するなら限月を意識しなくてよいスポット CFD やマイクロ先物が扱いやすく、数か月以上の保有を考えるならロールコストと金利調整の影響を必ず試算する必要があります。商品を選ぶ前に、次の 4 点を取引説明書で確認してください。

  • 何に連動するか — WTI かブレントか、どの限月か、スポット合成か。
  • 満期・ロールの扱い — 自動ロールの有無、限月間の価格差の処理方法、ロール日。
  • 保有コスト — 金利調整(スワップ)、信託報酬、スプレッド(売買価格差)。
  • レバレッジと証拠金 — 原油は 1 日 5% 以上動く日があり、証拠金の何倍のポジションかを常に把握する。

見るべきデータ

WTI 先物(CL / QM / MCL)の契約仕様 CME グループ公式サイト
ブレント先物(B)の契約仕様 ICE 公式サイト
ドバイ原油先物の契約仕様 大阪取引所(JPX)
各社 CFD の参照先物・ロール・調整額の規定 各証券会社・FX 会社の取引説明書

よくある質問

Q. 原油の CFD と先物は何が違いますか?
先物は取引所(CME や ICE)で売買される標準化された契約で、限月と満期があり、1 枚の単位が大きい(WTI で 1,000 バレル、マイクロで 100 バレル)です。CFD は証券会社・FX 会社を相手にする相対取引で、少額から取引でき、スポット型なら満期を意識せずに保有できます。その代わり先物カーブ由来のコストが日々の金利調整として反映され、価格は会社が先物から合成したものになります。
Q. 原油 ETF は長期保有に向いていますか?
一般に向いていません。原油 ETF は先物を保有し満期前にロールし続けるため、先物カーブがコンタンゴ(期先高)のときは、安い期近を売って高い期先を買うロールコストで、原油価格が横ばいでも基準価額が下がります。金 ETF が現物の金を保有して価格にほぼ連動するのとは仕組みが異なります。
Q. スポット CFD の「原油スポット価格」とは何ですか?
現物の原油の価格ではなく、証券会社が先物の期近 2 限月などから計算した「満期の無い合成価格」です。会社によって計算方法が違い、EIA が公表する現物スポット価格や、ニュースの期近先物価格とは数十セントから数ドルずれることがあります。boobook.ai の分析対象である Exness の USOIL もこの型のスポット CFD です。

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