COT レポート解説 · 報告日 2026-10-06
公表 2026-10-09(金)15:30 ET記事作成 · 投機筋の偏り 中立 · 今週の流れ 手仕舞い売り主導
投機筋は6週連続の後退、ネットロングは1年レンジの中央まで低下
10月6日火曜時点のマネージド・マネー(MM)のネットロングは +110,987 枚と前週から -9,331 枚の減少で、8月25日の +144,747 枚を高点とする後退は6週連続となりました(4週で -23,985 枚、13週で -5,174 枚)。1年パーセンタイルは 49.0(1年レンジ +89,752 〜 +144,747 枚)、3年パーセンタイルは 32.4 と、前週の 62.5 / 38.1 からさらに切り下がり、1年レンジのほぼ中央に位置しています。建玉全体は 396,109 枚(前週 -10,347 枚、4週 -15,118 枚、1年パーセンタイル 37.5)と3週連続で減少し、コード判定の4象限は前週に続き「手仕舞い売り主導」(ネット減 × 建玉減)です。一方、火曜→火曜の金価格は 4,182.00 ドルから 4,169.39 ドルへ -12.61 ドル(-0.30%)とほぼ横ばいで、前週の急落(-4.03%)のあと価格は落ち着いたにもかかわらず、ポジションの整理は続いた週でした。
MM ネット
+110,987
前週 -9,331
1 年 / 3 年パーセンタイル
49.0 / 32.4
1 年レンジ +89,752〜+144,747
建玉(OI)
396,109
前週 -10,347
金価格(火曜→火曜)
4,169
-13(-0.30%)
投機筋の偏り
MM ネットの1年パーセンタイルは 49.0 で、1年レンジ(+89,752 〜 +144,747 枚)のほぼ中央、3年パーセンタイルは 32.4 と3年で見れば下寄りです。前週までの「やや買いに傾いている」状態から、混み具合としては中立圏に戻ったと判断します。
今週の流れ(ネット × 建玉の 4 象限)
コード判定の4象限は「手仕舞い売り主導」で、MM ネットが -9,331 枚減る一方で建玉も -10,347 枚減っており、新規の売り手が参入したというより既存のロングが手仕舞われた形です。ただし今週は MM ショートが +4,721 枚増えている点が前週と異なり、純粋なロング整理に加えて売り持ちの構築も一部混じっています。火曜→火曜の価格は -0.30% とほぼ横ばいだったため、「価格横ばい × ポジション縮小」という組み合わせであり、価格の下落とロング整理が揃った前週とは異なり、価格が落ち着いても投機筋は戻り待ちの手仕舞いを続けたと読めます。
マネージド・マネー
MM ロングは 127,101 枚(前週 -4,610 枚)と7月28日以来の低水準で、8月25日の 159,819 枚から6週連続で減少しています。MM ショートは 16,114 枚(前週 +4,721 枚)と前週の 11,393 枚から大きく積み増され、13週表では7月21日の 16,656 枚以来の高さです。結果としてネットは +110,987 枚で、4週で -23,985 枚、13週では -5,174 枚と、7月中旬の水準(7月14日 +120,779 枚)をやや下回るところまで戻りました。MM ロングの建玉比は 32.1%、ショート比は 4.1% で、参加者数は MM ロング 75 社、MM ショート 18 社です(前週の参加者数は未供給のため変化は比較できません)。
商業筋(Producer-Merchant / Swap Dealers)
商業筋合計のネットショートは -244,527 枚で前週から +6,440 枚の縮小(買い戻し)となり、内訳は Producer/Merchant が -19,501 枚(前週 +1,762 枚)、Swap Dealers が -225,026 枚(前週 +4,678 枚)です。13週表では Producer/Merchant が8月25日の -34,558 枚から6週連続で縮小、Swap Dealers も同日の -245,027 枚から 2 万枚ほど縮小しており、投機筋のロング整理に対して商業筋がヘッジを巻き戻す構図が続いています。ただし Producer/Merchant の -19,501 枚は7月14日(-19,149 枚)とほぼ同水準で、13週で見ると「増やしたヘッジを元に戻した」段階にとどまっています。
その他の大口・小口
Other Reportables のネットロングは +99,348 枚(前週 +1,034 枚)と、8月以降 9 万〜10 万枚台の高めの水準を維持しており、MM が減らす中でも整理には動いていません。Non-Reportable(小口)は +34,192 枚(前週 +1,857 枚)と小幅増で、特筆すべき動きはありません。
建玉と参加者
建玉は 396,109 枚(前週 -10,347 枚、4週 -15,118 枚)と3週連続で減少し、8月25日の 427,957 枚から 3 万枚超の縮小で、1年パーセンタイルは 37.5 と低めです。全体の参加者数は 285 社で、上位4社の集中度はロング 21.4%、ショート 39.7% と、売り方に大口が集中する構図は変わっていません。
価格とポジションの関係
報告週の価格は 4,137.60 〜 4,177.45 ドルの狭いレンジで推移し、火曜終値 4,169.39 ドルはレンジ上限に近い位置でしたが、それでも MM ネットは -9,331 枚減り、価格の安定とポジションの縮小が食い違う週でした。報告日以降は10月10日終値 4,195.89 ドルと報告日比 +26.50 ドル(+0.64%)の反発で、報告週にショートを積み増した側(MM ショート +4,721 枚)は今のところ報われていません。価格が高値から下げ止まる局面でポジションだけが軽くなっているため、投機筋の「買い余力」はこの6週で回復したものの、実際に買いに転じた兆候はまだ確認できません。
報告日以降の直近終値 2026-10-10: 4,195.89(報告日比 +26.50 / +0.64%)
直近 13 週のカテゴリー別ネット(枚)
| 報告日 | 建玉 | MM ネット | P/M | Swap | Other | 小口 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026-10-06 | 396,109 | +110,987 | -19,501 | -225,026 | +99,348 | +34,192 |
| 2026-09-29 | 406,456 | +120,318 | -21,263 | -229,704 | +98,314 | +32,335 |
| 2026-09-22 | 412,800 | +127,389 | -26,777 | -236,126 | +98,464 | +37,050 |
| 2026-09-15 | 409,899 | +133,116 | -28,061 | -233,660 | +97,222 | +31,383 |
| 2026-09-08 | 411,227 | +134,972 | -30,961 | -239,313 | +96,988 | +38,314 |
| 2026-09-01 | 415,196 | +136,771 | -31,289 | -233,429 | +91,353 | +36,594 |
| 2026-08-25 | 427,957 | +144,747 | -34,558 | -245,027 | +98,587 | +36,251 |
| 2026-08-18 | 406,260 | +141,648 | -29,761 | -228,657 | +80,541 | +36,229 |
| 2026-08-11 | 400,309 | +137,662 | -27,935 | -224,705 | +80,278 | +34,700 |
| 2026-08-04 | 371,551 | +130,766 | -18,856 | -207,635 | +66,868 | +28,857 |
| 2026-07-28 | 384,603 | +119,795 | -20,549 | -191,760 | +62,275 | +30,239 |
| 2026-07-21 | 383,368 | +124,831 | -19,321 | -193,878 | +59,079 | +29,289 |
| 2026-07-14 | 383,689 | +120,779 | -19,149 | -195,639 | +65,903 | +28,106 |
データ
ネットロングが過去レンジの上端に近いほど「買い余力が少なく、巻き戻しが急になりやすい」。方向ではなく混み具合を読む。
出所: CFTC Disaggregated COT / TwelveData
| 項目 | 値(枚) | 前週差 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 建玉(OI) | 396,109 | -10,347 | 市場全体の参加資金の増減 |
| MM ロング | 127,101 | — | 投機筋の買い持ち |
| MM ショート | 16,114 | — | ショートカバーの燃料 |
| MM ネット | +110,987 | -9,331 | ロング − ショート。前週差と建玉前週差の符号で新規参入/手仕舞いを判別 |
| MM ネット 1 年パーセンタイル | 49.0 | — | 80 以上 / 20 以下が偏りの目安 |
| MM ネット 3 年パーセンタイル | 32.4 | — | 3 年レンジ: +15,103 〜 +219,029 |
| Producer/Merchant ネット | -19,501 | — | 現物ヘッジャー。構造的にネットショート |
| Swap Dealers ネット | -225,026 | — | 顧客の投資需要の鏡 |
パーセンタイルは過去 52 / 156 週のネットの分布内での位置。読み方の詳細は「COT レポート入門」第 2 章。
出所: CFTC Public Reporting API(市場コード 088691)
来週見るべきもの
-
MM ネットの減少が7週目に続くか、それとも「新規買い」象限へ転じるか
価格は報告日以降 +0.64% と反発しており、ネット増 × 建玉増の組み合わせが出れば、6週続いた手仕舞い局面の一巡を確認する材料になります。
-
MM ショート 16,114 枚(前週 +4,721 枚)がさらに積み上がるか、反発で踏まれて減るか
今週の減少には売り持ち構築が一部混じっており、ショートの増減で「ロング整理の継続」と「弱気転換」を区別できます。
-
商業筋(P/M + Swap)の買い戻しが続くか、-244,527 枚から再び拡大に転じるか
投機筋のロング整理と対になる商業筋の買い戻しが止まれば、ヘッジャー側が現在の価格水準を売り場と見始めた兆候になります。
-
建玉 396,109 枚(1年パーセンタイル 37.5)の減少が止まるか
建玉の減少が止まり増加に転じると、価格変動が手仕舞いではなく新規の資金流入で起きているかを判断できるようになります。
次回: 報告日 2026-10-13(火)分が 2026-10-16(金)15:30 ET に公表予定
この記事の要点
投機筋のネットロングは6週で約 3.4 万枚減り、1年パーセンタイル 49.0 と混み具合は中立圏に戻りました。今週は価格がほぼ横ばい(-0.30%)でも手仕舞いが続き、ショートの積み増しも加わった点が前週との違いです。来週は、価格反発のもとでネットが増加に転じるか、それともショートがさらに積まれるかで、整理局面の終わりか弱気転換かを見分けることが観察の焦点になります。
データ上の留保: 前週の参加者数は未供給のため、参加者数の前週比は記述していません。金価格は XAU/USD の D1 終値(JST 日付)による概算で、COT の基準時刻(火曜 NY クローズ)とは厳密に一致しません。ニュース・経済指標などの材料は供給されていないため、価格変動の原因には触れていません。
用語と読み方: COT レポート入門 · COT レポートと建玉(ゴールド要因 第 7 章)