COT レポート解説 · 報告日 2026-09-29
公表 2026-10-02(金)15:30 ET記事作成 · 投機筋の偏り 買いに傾き · 今週の流れ 手仕舞い売り主導
投機筋は5週連続の後退、価格急落で手仕舞い売りが優勢に
9月29日火曜時点のマネージド・マネー(MM)のネットロングは +120,318 枚と前週から -7,071 枚の減少で、8月25日の +144,747 枚を高点とする後退は5週連続となりました(4週で -16,453 枚、13週ではほぼ横ばいの +227 枚)。1年パーセンタイルは 62.5(1年レンジ +89,752 〜 +144,747 枚)、3年パーセンタイルは 38.1 と、前週の 74.0 / 46.5 からさらに切り下がっています。建玉全体は 406,456 枚(前週 -6,344 枚)と再び減少し、コード判定の4象限は「手仕舞い売り主導」(ネット減 × 建玉減)です。火曜→火曜の金価格は 4,357.68 ドルから 4,182.00 ドルへ -175.68 ドル(-4.03%)の下落で、前週の「価格上昇とロング整理の食い違い」が今週は価格下落の形で揃った週となりました。
MM ネット
+120,318
前週 -7,071
1 年 / 3 年パーセンタイル
62.5 / 38.1
1 年レンジ +89,752〜+144,747
建玉(OI)
406,456
前週 -6,344
金価格(火曜→火曜)
4,182
-176(-4.03%)
投機筋の偏り
MM ネットの1年パーセンタイルは 62.5 で、1年レンジ +89,752 〜 +144,747 枚のおおむね中央よりやや上に位置します。3年パーセンタイルは 38.1 と中央値を下回っており、1年の枠内ではロングに傾いているものの「混み合っている」とまでは言えない水準です。
今週の流れ(ネット × 建玉の 4 象限)
コード判定の4象限は「手仕舞い売り主導」で、MM ネットが -7,071 枚減ると同時に建玉も -6,344 枚減りました。これは既存のロングが解消されて市場から資金が抜けた形で、火曜→火曜の価格 -4.03% の下落と方向が一致する順行の週です。前週は価格上昇の中でネットが減る乖離が出ていましたが、今週は価格のほうがポジションの流れに追いつく展開になりました。
マネージド・マネー
MM ロングは 131,711 枚(前週 -3,988 枚)、ショートは 11,393 枚(前週 +3,083 枚)で、ロングの圧縮とショートの積み増しが同時に進みました。ロングは8月25日の 159,819 枚から5週で約2万8千枚減り、7月下旬以来の水準まで戻っています。ショートは 9月22日の 8,310 枚を底に増加に転じましたが、建玉比では 2.8% とまだ小さく、ネットロングの縮小はあくまでロング側の整理が主因です。ネットの13週変化は +227 枚で、7月上旬の +116,161 枚とほぼ同じ位置に戻ったことになります。参加者数は MM ロング 80 / ショート 17 ですが、前週比は供給されていません。
商業筋(Producer-Merchant / Swap Dealers)
商業筋合計のネットショートは -250,967 枚と前週から +11,936 枚縮小しました。内訳は Producer/Merchant が -21,263 枚(前週 +5,514 枚)、Swap Dealers が -229,704 枚(前週 +6,422 枚)で、どちらも買い戻し方向です。13週表では商業筋合計のショートは8月25日の -279,585 枚(P/M -34,558 と Swap -245,027 の合計)をピークに、MM のロング整理と鏡写しに縮小が続いています。P/M のネットショートは5週連続で縮小しており、価格下落局面でヘッジを外す動きが継続しています。
その他の大口・小口
Other Reportables のネットは +98,314 枚(前週 -150 枚)とほぼ横ばいで、8月下旬以降 9万枚台後半の高水準を維持しています。Non-Reportable(小口)は +32,335 枚(前週 -4,715 枚)と減少し、価格下落に合わせてポジションを落としました。
建玉と参加者
建玉は 406,456 枚で前週 -6,344 枚、4週では -8,740 枚の減少、1年パーセンタイルは 45.2 と中位です。8月25日の 427,957 枚をピークに縮小基調が続いており、MM の手仕舞いが建玉の減少として表れています。参加者数は全体で 286、上位4社の集中度はロング 21.2% に対しショート 39.4% と、ショート側に偏った構造は変わりません。
価格とポジションの関係
報告週の価格は 4,357.68 ドルから 4,182.00 ドルへ -4.03% 下落し、終値レンジは 4,115.08 〜 4,286.97 ドルでした。MM はこの下落の中でロングを削り、ショートを積む形で順方向に動いており、前週までの「価格が高いのにネットが減る」乖離は今週の下落で解消された格好です。報告日以降は 10月3日時点で 4,137.54 ドル(報告日比 -1.06%)とさらに軟化しており、火曜時点でロングを落とした投機筋の判断は目先では報われた形になっています。ただし火曜以降の値動きが来週のポジション変化を保証するものではありません。
報告日以降の直近終値 2026-10-03: 4,137.54(報告日比 -44.46 / -1.06%)
直近 13 週のカテゴリー別ネット(枚)
| 報告日 | 建玉 | MM ネット | P/M | Swap | Other | 小口 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026-09-29 | 406,456 | +120,318 | -21,263 | -229,704 | +98,314 | +32,335 |
| 2026-09-22 | 412,800 | +127,389 | -26,777 | -236,126 | +98,464 | +37,050 |
| 2026-09-15 | 409,899 | +133,116 | -28,061 | -233,660 | +97,222 | +31,383 |
| 2026-09-08 | 411,227 | +134,972 | -30,961 | -239,313 | +96,988 | +38,314 |
| 2026-09-01 | 415,196 | +136,771 | -31,289 | -233,429 | +91,353 | +36,594 |
| 2026-08-25 | 427,957 | +144,747 | -34,558 | -245,027 | +98,587 | +36,251 |
| 2026-08-18 | 406,260 | +141,648 | -29,761 | -228,657 | +80,541 | +36,229 |
| 2026-08-11 | 400,309 | +137,662 | -27,935 | -224,705 | +80,278 | +34,700 |
| 2026-08-04 | 371,551 | +130,766 | -18,856 | -207,635 | +66,868 | +28,857 |
| 2026-07-28 | 384,603 | +119,795 | -20,549 | -191,760 | +62,275 | +30,239 |
| 2026-07-21 | 383,368 | +124,831 | -19,321 | -193,878 | +59,079 | +29,289 |
| 2026-07-14 | 383,689 | +120,779 | -19,149 | -195,639 | +65,903 | +28,106 |
| 2026-07-07 | 371,776 | +116,161 | -20,986 | -201,296 | +78,085 | +28,036 |
データ
ネットロングが過去レンジの上端に近いほど「買い余力が少なく、巻き戻しが急になりやすい」。方向ではなく混み具合を読む。
出所: CFTC Disaggregated COT / TwelveData
| 項目 | 値(枚) | 前週差 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 建玉(OI) | 406,456 | -6,344 | 市場全体の参加資金の増減 |
| MM ロング | 131,711 | — | 投機筋の買い持ち |
| MM ショート | 11,393 | — | ショートカバーの燃料 |
| MM ネット | +120,318 | -7,071 | ロング − ショート。前週差と建玉前週差の符号で新規参入/手仕舞いを判別 |
| MM ネット 1 年パーセンタイル | 62.5 | — | 80 以上 / 20 以下が偏りの目安 |
| MM ネット 3 年パーセンタイル | 38.1 | — | 3 年レンジ: -26,767 〜 +219,029 |
| Producer/Merchant ネット | -21,263 | — | 現物ヘッジャー。構造的にネットショート |
| Swap Dealers ネット | -229,704 | — | 顧客の投資需要の鏡 |
パーセンタイルは過去 52 / 156 週のネットの分布内での位置。読み方の詳細は「COT レポート入門」第 2 章。
出所: CFTC Public Reporting API(市場コード 088691)
来週見るべきもの
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MM ロングの減少が6週目に続くか、131,711 枚前後で下げ止まるか
8月25日からの整理が5週で約2万8千枚に達し、ネットは13週前とほぼ同水準まで戻りました。ここで止まるか続くかで、ロング整理が一巡したかどうかの判断材料になります。
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MM ショートが 11,393 枚からさらに積み上がるか
今週のネット減少には +3,083 枚のショート増が寄与しました。ショートの積み増しが続けば、ネットの縮小が「ロングの手仕舞い」から「新規売り」へ性格を変える可能性があります。
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建玉が 406,456 枚から再び減るか、価格下落の中で増えるか
価格下落と建玉減が続けば手仕舞い主導の下落、建玉が増えれば新規売り主導の下落と読み分けられ、4象限の判定が変わるかどうかが注目点です。
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商業筋のネットショート縮小が継続するか
P/M と Swap がともに買い戻しを進めており、商業筋合計は8月25日の -279,585 枚から -250,967 枚まで縮小しています。縮小ペースが鈍れば、ヘッジ側の買い戻し一巡を示唆します。
次回: 報告日 2026-10-06(火)分が 2026-10-09(金)15:30 ET に公表予定
この記事の要点
今週は MM ネットの5週連続の縮小と -4.03% の価格下落が揃い、コード判定も「手仕舞い売り主導」と、ポジションの流れと価格が同じ方向を向いた週でした。1年パーセンタイル 62.5 / 3年 38.1 という位置は、ロングが積み上がっているとは言いにくい中立寄りの水準で、巻き戻しの余地は8月末より明らかに小さくなっています。来週はロング整理が一巡するか、ショート積み増しに性格が変わるかを、ロング・ショート別の枚数と建玉の増減で確認するのが観察の要点です。
データ上の留保: 参加者数の前週比は供給されていないため、参加者数の変化は記述していません。価格は XAU/USD の D1 終値(JST 日付)であり、COT 基準時刻である火曜 NY クローズとは厳密には一致しない概算です。ニュース・経済指標などの材料は供給されていないため、価格変動の背景には触れていません。
用語と読み方: COT レポート入門 · COT レポートと建玉(ゴールド要因 第 7 章)