COT レポート解説 · 報告日 2026-09-22
公表 2026-09-25(金)15:30 ET記事作成 · 投機筋の偏り 買いに傾き · 今週の流れ 新規売り主導
投機筋は4週連続の売り越し縮小、価格反発と逆行するロング整理
9月22日火曜時点のマネージド・マネー(MM)のネットロングは +127,389 枚と前週から -5,727 枚の減少で、8月25日の +144,747 枚を高点として4週連続の後退となりました(4週で -17,358 枚、13週では +11,994 枚)。1年パーセンタイルは 74.0(1年レンジ +89,752 〜 +145,227 枚)、3年パーセンタイルは 46.5 で、前週の 79.8 からさらに切り下がっています。建玉全体は 412,800 枚(前週 +2,901 枚)と4週ぶりに増加し、コード判定の4象限は「新規売り主導」(ネット減 × 建玉増)に切り替わりました。火曜→火曜の金価格は 4,293.80 ドルから 4,357.68 ドルへ +63.88 ドル(+1.49%)の上昇で、価格が反発する中で MM がロングを -6,695 枚落としたという、方向の食い違う週です。
MM ネット
+127,389
前週 -5,727
1 年 / 3 年パーセンタイル
74.0 / 46.5
1 年レンジ +89,752〜+145,227
建玉(OI)
412,800
前週 +2,901
金価格(火曜→火曜)
4,358
+64(+1.49%)
投機筋の偏り
MM ネットの1年パーセンタイルは 74.0 で、1年レンジ +89,752 〜 +145,227 枚の上位3分の1に位置する一方、3年パーセンタイルは 46.5 と中央値近辺にあり、前週(79.8 / 52.2)からいずれも低下しています。上位ではあるものの混雑度は4週続けて緩んでおり、「やや買いに傾いた」水準と判断します。
今週の流れ(ネット × 建玉の 4 象限)
コード判定の4象限は「新規売り主導」(MM ネット -5,727 枚 × 建玉 +2,901 枚)で、前週までの3週連続「手仕舞い売り主導」から建玉の向きが変わりました。ただし中身を見ると MM のショートは -968 枚と減っており、MM 自身が新規に売りを積んだわけではなく、MM のロング -6,695 枚の整理と、小口(+5,667 枚)や Other Reportables(+1,242 枚)のネット買い増しが建玉の増加を支えた構図です。火曜→火曜の価格は +1.49% の上昇でしたから、「価格上昇 + MM ネット減」は順行ではなく乖離であり、この週の上昇は投機筋の買いによって作られたものではないと読めます。
マネージド・マネー
MM ロングは 135,699 枚(前週 -6,695 枚)で、8月25日の 159,819 枚から4週で 24,120 枚減り、7月28日(135,093 枚)とほぼ同じ水準まで戻っています。MM ショートは 8,310 枚(前週 -968 枚)で、13週表の中で最も軽い水準です。ネットは +127,389 枚で、4週の変化は -17,358 枚と大きめの後退ですが、13週では +11,994 枚の増加で、6月末(+120,091 枚)からの積み上がりはまだ残っています。参加者数は MM ロング 92 社 / MM ショート 14 社で、ロング側は多数の参加者が薄く持ち、ショート側は少数に偏った構図です(前週の参加者数は未供給のため増減は比較できません)。MM ロングの建玉比は 32.9%、ショート比は 2.0% と、投機筋のポジションは依然として買い一辺倒に近い形です。
商業筋(Producer-Merchant / Swap Dealers)
Producer/Merchant のネットは -26,777 枚で前週から +1,284 枚と売り越しを縮め、8月25日の -34,558 枚を底に4週連続でヘッジの巻き戻しが続いています。一方 Swap Dealers は -236,126 枚(前週 -2,466 枚)と売り越しを広げ、商業筋合計は -262,903 枚(前週 -1,182 枚)と小幅にショートを積み増しました。13週表では商業筋合計は6月30日の約 -221,000 枚から 8月25日の約 -280,000 枚まで拡大した後、9月に入ってからは -262,000 〜 -272,000 枚の範囲で横ばいに近く、投機筋のロング整理に見合う形で商業筋の買い戻しも一服している様子です。
その他の大口・小口
Other Reportables のネットは +98,464 枚(前週 +1,242 枚)で、8月4日の +66,868 枚から13週表の中で最も高い水準まで買いを伸ばし続けています。Non-Reportable(小口)は +37,050 枚(前週 +5,667 枚)と、今週の増加幅では全カテゴリー中で最大でした。
建玉と参加者
建玉は 412,800 枚(前週 +2,901 枚)で4週ぶりの増加ですが、4週では -15,157 枚の減少で、1年パーセンタイルは 56.7 と中位です。全体の参加者数は 293 社です。上位4社の集中度はロング 21.0% に対しショート 40.0% と、売り方の集中が目立ちます。
価格とポジションの関係
報告週の価格は 4,293.80 ドルから 4,357.68 ドルへ +1.49% 上昇し、終値レンジ 4,264.07 〜 4,380.13 ドルの上寄りで火曜を迎えましたが、MM ネットは -5,727 枚と4週連続で減少しており、価格とポジションの向きが逆になっています。前週までは「価格下落 + 手仕舞い」の順行でしたが、今週は価格が戻っても投機筋は戻り売りに近い形でロングを軽くし、買いの主体は小口と Other Reportables でした。報告日以降の直近終値(9月26日)は 4,286.14 ドルと報告日比 -71.54 ドル(-1.64%)で、報告週の上昇分を打ち消して前回報告日の終値(4,293.80 ドル)をわずかに下回っており、火曜時点でロングを落としていた投機筋にとっては結果として不利にならなかった値動きです。
報告日以降の直近終値 2026-09-26: 4,286.14(報告日比 -71.54 / -1.64%)
直近 13 週のカテゴリー別ネット(枚)
| 報告日 | 建玉 | MM ネット | P/M | Swap | Other | 小口 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026-09-22 | 412,800 | +127,389 | -26,777 | -236,126 | +98,464 | +37,050 |
| 2026-09-15 | 409,899 | +133,116 | -28,061 | -233,660 | +97,222 | +31,383 |
| 2026-09-08 | 411,227 | +134,972 | -30,961 | -239,313 | +96,988 | +38,314 |
| 2026-09-01 | 415,196 | +136,771 | -31,289 | -233,429 | +91,353 | +36,594 |
| 2026-08-25 | 427,957 | +144,747 | -34,558 | -245,027 | +98,587 | +36,251 |
| 2026-08-18 | 406,260 | +141,648 | -29,761 | -228,657 | +80,541 | +36,229 |
| 2026-08-11 | 400,309 | +137,662 | -27,935 | -224,705 | +80,278 | +34,700 |
| 2026-08-04 | 371,551 | +130,766 | -18,856 | -207,635 | +66,868 | +28,857 |
| 2026-07-28 | 384,603 | +119,795 | -20,549 | -191,760 | +62,275 | +30,239 |
| 2026-07-21 | 383,368 | +124,831 | -19,321 | -193,878 | +59,079 | +29,289 |
| 2026-07-14 | 383,689 | +120,779 | -19,149 | -195,639 | +65,903 | +28,106 |
| 2026-07-07 | 371,776 | +116,161 | -20,986 | -201,296 | +78,085 | +28,036 |
| 2026-06-30 | 369,541 | +120,091 | -17,046 | -204,024 | +73,928 | +27,051 |
データ
ネットロングが過去レンジの上端に近いほど「買い余力が少なく、巻き戻しが急になりやすい」。方向ではなく混み具合を読む。
出所: CFTC Disaggregated COT / TwelveData
| 項目 | 値(枚) | 前週差 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 建玉(OI) | 412,800 | +2,901 | 市場全体の参加資金の増減 |
| MM ロング | 135,699 | — | 投機筋の買い持ち |
| MM ショート | 8,310 | — | ショートカバーの燃料 |
| MM ネット | +127,389 | -5,727 | ロング − ショート。前週差と建玉前週差の符号で新規参入/手仕舞いを判別 |
| MM ネット 1 年パーセンタイル | 74.0 | — | 80 以上 / 20 以下が偏りの目安 |
| MM ネット 3 年パーセンタイル | 46.5 | — | 3 年レンジ: -26,767 〜 +219,029 |
| Producer/Merchant ネット | -26,777 | — | 現物ヘッジャー。構造的にネットショート |
| Swap Dealers ネット | -236,126 | — | 顧客の投資需要の鏡 |
パーセンタイルは過去 52 / 156 週のネットの分布内での位置。読み方の詳細は「COT レポート入門」第 2 章。
出所: CFTC Public Reporting API(市場コード 088691)
来週見るべきもの
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MM ネットの減少が5週目に及ぶか、+127,389 枚付近で止まるか
8月25日の高点 +144,747 枚から4週で -17,358 枚と整理が進み、13週の積み上がり分(+11,994 枚)が残り少なくなっています。減少が続けば6月末の +120,091 枚近辺まで戻り、13週で見た買い越しの増分が消えるかどうかが確認点になります。
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報告日以降の -1.64% の下落で MM ロングがさらに削られたか、ショートが増え始めるか
今週の MM ショートは 8,310 枚と13週で最も軽く、売り方はほとんど積まれていません。価格の反落でショートが増えるなら4象限が本来の意味での「新規売り」に近づき、ロングだけが減るなら引き続き「ロング整理」の局面と読み分けられます。
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小口(+5,667 枚)と Other Reportables(+1,242 枚)の買いが続くか
今週の建玉増加と価格上昇は MM ではなくこれらのカテゴリーの買いに支えられました。MM が売る中で誰が受けているかが変われば、価格の支え方の質が変わる可能性を確認できます。
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Producer/Merchant の売り越し縮小(4週連続)が続くか
現物ヘッジャーのショート巻き戻しは価格下落局面で先物の買い戻しが出ていることを示します。これが止まるか反転するかで、商業筋側の需給の変化を読めます。
次回: 報告日 2026-09-29(火)分が 2026-10-02(金)15:30 ET に公表予定
この記事の要点
今週の要点は、金価格が火曜→火曜で +1.49% 反発したにもかかわらず、投機筋のネットロングが4週連続で減り(+127,389 枚、前週 -5,727 枚)、1年パーセンタイルが 74.0 まで切り下がったという「価格とポジションの乖離」です。コード判定の4象限は「新規売り主導」ですが、MM ショートは減っており、実態は MM のロング整理を小口と Other Reportables の買いが吸収した形でした。混雑度はまだ上位ながら緩みつつあるため、来週は MM の減少が止まるか、そして報告日以降の反落で買い手がどのカテゴリーに移るかを観察すると、ポジションの質が見えてきます。
データ上の留保: 前週の参加者数は未供給のため、参加者数の増減は比較できません。1年レンジの上限が前週の +160,549 枚から +145,227 枚に変わっているのは1年の集計窓が更新されたためと考えられますが、詳細は未供給です。価格は XAU/USD の D1 終値(JST 日付)による概算で、COT の基準時刻(火曜 NY クローズ)とは厳密には一致しません。ニュース・経済指標などの材料は供給されていないため、値動きの背景は扱っていません。
用語と読み方: COT レポート入門 · COT レポートと建玉(ゴールド要因 第 7 章)