COT レポート解説 · 報告日 2026-09-15
公表 2026-09-18(金)15:30 ET記事作成 · 投機筋の偏り 買いに傾き · 今週の流れ 手仕舞い売り主導
投機筋は3週連続の手仕舞い、下落週にロングもショートも軽くなる
9月15日火曜時点のマネージド・マネー(MM)のネットロングは +133,116 枚と前週から -1,856 枚の減少で、8月25日の +144,747 枚を直近の高点として3週連続の後退となりました。1年パーセンタイルは 79.8(1年レンジ +89,752 〜 +160,549 枚)、3年パーセンタイルは 52.2 で、前週の 81.7 からさらに切り下がっています。建玉全体は 409,899 枚(前週 -1,328 枚)と3週続けて減少し、コード判定の4象限は3週連続で「手仕舞い売り主導」(ネット減 × 建玉減)です。火曜→火曜の金価格は 4,356.03 ドルから 4,293.80 ドルへ -62.23 ドル(-1.43%)の下落で、報告週の終値レンジ 4,293.80 〜 4,401.70 ドルのうち火曜終値はちょうど下限に位置しています。価格が下げる中でロングが -3,410 枚、ショートも -1,554 枚と両サイドが縮み、投機筋が持ち高を軽くする動きが価格の軟化と同じ方向を向いた週でした。
MM ネット
+133,116
前週 -1,856
1 年 / 3 年パーセンタイル
79.8 / 52.2
1 年レンジ +89,752〜+160,549
建玉(OI)
409,899
前週 -1,328
金価格(火曜→火曜)
4,294
-62(-1.43%)
投機筋の偏り
MM ネットの1年パーセンタイルは 79.8 と目安の 60〜85 の範囲にあり、1年レンジ +89,752 〜 +160,549 枚の中では上位寄りながら高点からは距離があります。3年パーセンタイルは 52.2 と長期で見ればほぼ中央で、前週の 81.7 / 54.8 からともに低下しているため、混み具合は「ロングに傾いているが、ピークからは解消が進んでいる」段階と判断します。
今週の流れ(ネット × 建玉の 4 象限)
コード判定の4象限は「手仕舞い売り主導」(MM ネット前週差 -1,856 枚 × 建玉前週差 -1,328 枚)で、前々週・前週に続いて3週連続です。火曜→火曜の価格は -1.43% の下落でしたから、「価格下落 + 手仕舞い」という組み合わせは方向として整合しており、ロングの整理が価格の重さとして表れた順行型の週と読めます。ただし建玉の減り幅(-1,328 枚)はネットの減り幅(-1,856 枚)と同程度で小さく、大規模な投げというより淡々とした縮小が続いている形です。
マネージド・マネー
MM のロングは 142,394 枚(前週 -3,410 枚)、ショートは 9,278 枚(前週 -1,554 枚)で、ロングの削減幅がショートの買い戻しを上回ったためネットは -1,856 枚の減少となりました。4週では -8,532 枚のネット減で、8月25日の +144,747 枚をピークに 136,771 → 134,972 → 133,116 枚と3週続けて切り下がっています。一方、13週では +19,395 枚のネット増で、6月23日の +115,395 枚からの中期的な買い積み上げはまだ残っている状態です。ショートは 9,278 枚まで細り、建玉比では 2.3% にすぎず、ショート側の参加者数も 11 と非常に薄い点は注目に値します(MM ロング参加者数は 93、全体は 296、前週の参加者数は未供給のため変化は不明です)。
商業筋(Producer-Merchant / Swap Dealers)
Producer/Merchant のネットは -28,061 枚(前週 +2,900 枚)、Swap Dealers のネットは -233,660 枚(前週 +5,653 枚)で、商業筋合計は -261,721 枚(前週 +8,553 枚)とショートを縮める方向でした。13週表を見ると、Swap は 8月25日の -245,027 枚を直近で最も深いショートとして、以降 -233,429 → -239,313 → -233,660 枚と行きつ戻りつしつつ縮小方向にあります。P/M も同じく 8月25日の -34,558 枚から3週連続でショートを減らしており、投機筋の手仕舞いの受け皿として商業筋が買い戻す、鏡像の構図が3週続いています。6月23日時点の P/M -9,336 枚・Swap -196,068 枚と比べれば、商業筋のショートは依然として夏場に積み上げた水準の近くに残っています。
その他の大口・小口
Other Reportables のネットは +97,222 枚(前週 +234 枚)とほぼ横ばいで、8月以降 9万枚台後半の高い水準を維持しています。一方、Non-Reportable(小口)のネットは +31,383 枚(前週 -6,931 枚)と、今週のカテゴリー別では Swap に次ぐ大きな変化幅で削減されており、前週の +38,314 枚から 8月中旬以来の 3万枚台前半へ戻しました。小口が下落週に持ち高を大きく落とした点は、MM の手仕舞いと同じ方向の動きとして記録しておきたいところです。
建玉と参加者
建玉は 409,899 枚で前週 -1,328 枚、8月25日の 427,957 枚から3週連続の減少ですが、4週では +3,639 枚のプラスを保ち、1年パーセンタイルは 51.0 とレンジのほぼ中央にあります。全体の参加者数は 296 で、上位4社の集中度はロング 20.2%・ショート 40.2% と、ショート側に大手の持ち高が偏る構造は続いています。
価格とポジションの関係
報告週は価格が -1.43% 下落し、火曜終値が週内終値レンジの下限であったことと、MM ネット減・建玉減の「手仕舞い売り」が一致しており、この週に限ってはポジション縮小が価格の弱さと同じ向きでした。報告日以降は 9月19日の終値が 4,380.12 ドルと報告日比 +86.32 ドル(+2.01%)の反発となっており、火曜時点で持ち高を軽くしていたロング勢からすれば戻りを取り切れていない形、ショートを 9,278 枚まで減らしていた側からすれば結果的に逆風を避けた形になります。なお、ネットロングが3週連続で減る中でも1年パーセンタイルは 79.8 と上位を保っており、価格の反発が新規買いを伴うのか、それとも手仕舞いが続く中での戻りなのかは次回報告で確認が必要です。
報告日以降の直近終値 2026-09-19: 4,380.12(報告日比 +86.32 / +2.01%)
直近 13 週のカテゴリー別ネット(枚)
| 報告日 | 建玉 | MM ネット | P/M | Swap | Other | 小口 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026-09-15 | 409,899 | +133,116 | -28,061 | -233,660 | +97,222 | +31,383 |
| 2026-09-08 | 411,227 | +134,972 | -30,961 | -239,313 | +96,988 | +38,314 |
| 2026-09-01 | 415,196 | +136,771 | -31,289 | -233,429 | +91,353 | +36,594 |
| 2026-08-25 | 427,957 | +144,747 | -34,558 | -245,027 | +98,587 | +36,251 |
| 2026-08-18 | 406,260 | +141,648 | -29,761 | -228,657 | +80,541 | +36,229 |
| 2026-08-11 | 400,309 | +137,662 | -27,935 | -224,705 | +80,278 | +34,700 |
| 2026-08-04 | 371,551 | +130,766 | -18,856 | -207,635 | +66,868 | +28,857 |
| 2026-07-28 | 384,603 | +119,795 | -20,549 | -191,760 | +62,275 | +30,239 |
| 2026-07-21 | 383,368 | +124,831 | -19,321 | -193,878 | +59,079 | +29,289 |
| 2026-07-14 | 383,689 | +120,779 | -19,149 | -195,639 | +65,903 | +28,106 |
| 2026-07-07 | 371,776 | +116,161 | -20,986 | -201,296 | +78,085 | +28,036 |
| 2026-06-30 | 369,541 | +120,091 | -17,046 | -204,024 | +73,928 | +27,051 |
| 2026-06-23 | 352,167 | +115,395 | -9,336 | -196,068 | +65,944 | +24,065 |
データ
ネットロングが過去レンジの上端に近いほど「買い余力が少なく、巻き戻しが急になりやすい」。方向ではなく混み具合を読む。
出所: CFTC Disaggregated COT / TwelveData
| 項目 | 値(枚) | 前週差 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 建玉(OI) | 409,899 | -1,328 | 市場全体の参加資金の増減 |
| MM ロング | 142,394 | — | 投機筋の買い持ち |
| MM ショート | 9,278 | — | ショートカバーの燃料 |
| MM ネット | +133,116 | -1,856 | ロング − ショート。前週差と建玉前週差の符号で新規参入/手仕舞いを判別 |
| MM ネット 1 年パーセンタイル | 79.8 | — | 80 以上 / 20 以下が偏りの目安 |
| MM ネット 3 年パーセンタイル | 52.2 | — | 3 年レンジ: -26,767 〜 +219,029 |
| Producer/Merchant ネット | -28,061 | — | 現物ヘッジャー。構造的にネットショート |
| Swap Dealers ネット | -233,660 | — | 顧客の投資需要の鏡 |
パーセンタイルは過去 52 / 156 週のネットの分布内での位置。読み方の詳細は「COT レポート入門」第 2 章。
出所: CFTC Public Reporting API(市場コード 088691)
来週見るべきもの
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報告日以降の +2.01% の反発が、次回 COT で「新規買い」(MM ネット増 × 建玉増)として表れるか
3週連続の手仕舞い売り主導の後に価格が戻っています。建玉が増えてネットも増えれば投機筋が戻りを追った形、建玉が増えずにネットだけ増えればショートの買い戻し中心と読め、反発の質を区別できます。
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MM ショートが 9,278 枚(参加者 11)からさらに細るか、それとも積み直されるか
ショートが極端に薄い状態では、買い戻し余地が小さく上値の燃料になりにくい一方、価格が崩れた際には新規ショートが乗りやすい構造です。ショート側の変化はネットの振れ幅を決める要因になります。
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Swap Dealers のショート縮小(今週 +5,653 枚)が続くか
8月25日の -245,027 枚を起点に商業筋の買い戻しが3週続いています。投機筋の手仕舞いの受け皿として機能しているため、Swap の変化が止まれば MM 側の縮小も一巡した目安になり得ます。
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Non-Reportable が今週の -6,931 枚に続いて削減を続けるか
小口が大きく持ち高を落とした直後です。反発局面で小口が戻ってくるかどうかは、下落週の手仕舞いが一時的だったのか、参加者層の後退が広がっているのかを見る材料になります。
次回: 報告日 2026-09-22(火)分が 2026-09-25(金)15:30 ET に公表予定
この記事の要点
今週は価格の -1.43% の下落とともに MM がロング・ショート両サイドを削り、3週連続の「手仕舞い売り主導」となりましたが、1年パーセンタイルは 79.8 でロング寄りの偏りは残っています。商業筋がショートを +8,553 枚縮め、小口も -6,931 枚とポジションを落としており、市場全体で持ち高を軽くする局面が続いていると読めます。報告日以降の +2.01% の反発を投機筋が追いかけたのか、それとも手仕舞いの延長線上での戻りなのかを、次回の4象限と建玉の変化で確かめることが観察の焦点です。
データ上の留保: ニュース・経済指標・地政学の材料は供給されておらず、価格変動の原因には触れていません。前週の参加者数は未供給のため参加者数の変化は不明です。価格は XAU/USD の D1 終値(JST 日付)の概算で、COMEX 先物の火曜 NY クローズとは厳密に一致しません。
用語と読み方: COT レポート入門 · COT レポートと建玉(ゴールド要因 第 7 章)