COT レポート解説 · 報告日 2026-09-08
公表 2026-09-11(金)15:30 ET記事作成 · 投機筋の偏り 買いに傾き · 今週の流れ 手仕舞い売り主導
投機筋は 2 週連続の小幅手仕舞い、小反発の裏で建玉も細る
9 月 8 日火曜時点のマネージド・マネー(MM)のネットロングは +134,972 枚と前週から -1,799 枚の小幅減少で、2 週連続の後退となりました。1 年パーセンタイルは 81.7(1 年レンジ +89,752 〜 +160,549 枚)、3 年パーセンタイルは 54.8 で、前週の 83.7 からわずかに低下しています。建玉全体は 411,227 枚(前週 -3,969 枚)と 2 週続けて減少し、コード判定の 4 象限は前週に続いて「手仕舞い売り主導」(ネット減 × 建玉減)です。火曜→火曜の金価格は 4,328.58 ドルから 4,356.03 ドルへ +27.45 ドル(+0.63%)の小反発でしたが、報告週の終値レンジは 4,356.03 〜 4,473.79 ドルで、火曜終値は週内の終値の下限に位置しています。価格が小幅に上げる中でロングもショートも減っており、前週の急落後に投機筋が両サイドで持ち高を軽くした週と読めます。
MM ネット
+134,972
前週 -1,799
1 年 / 3 年パーセンタイル
81.7 / 54.8
1 年レンジ +89,752〜+160,549
建玉(OI)
411,227
前週 -3,969
金価格(火曜→火曜)
4,356
+27(+0.63%)
投機筋の偏り
MM ネットの 1 年パーセンタイルは 81.7 で「やや買い寄り」の上限近くにあり、3 年パーセンタイル 54.8 は中位です。1 年レンジ +89,752 〜 +160,549 枚の中では上位ですが、2 週前の 89.4 から 81.7 まで下がっており、混雑圏(85 以上)の一歩手前で滞留している状態です。
今週の流れ(ネット × 建玉の 4 象限)
コード判定の 4 象限は「手仕舞い売り主導」で、MM ネットが -1,799 枚、建玉が -3,969 枚とともに減少しています。一方、火曜→火曜の価格は +0.63% の小幅上昇であり、「価格上昇 + 手仕舞い」という軽い乖離の組み合わせです。ただし変化幅はネット・建玉ともに小さく、週内の終値レンジ(4,356.03 〜 4,473.79 ドル)から見ると火曜終値は週の戻り高値から押し戻された位置にあるため、価格の勢いが弱まる中で投機筋が両建ての持ち高を整理した、というのが実態に近い読み方です。
マネージド・マネー
MM ロングは 145,804 枚(前週 -3,917 枚)、ショートは 10,832 枚(前週 -2,118 枚)で、ロングとショートの双方が減少しました。差し引きのネットは -1,799 枚の小幅減で、前週の -7,976 枚に比べると手仕舞いのペースは鈍っています。4 週では -2,690 枚とわずかにマイナスに転じましたが、13 週では +29,109 枚の増加であり、6 月中旬の +113,721 枚から積み上げた買い持ちの大半は維持されています。MM ロングの建玉比は 35.5%、ショート比は 2.6% で、ショートの薄さは依然として際立っています。参加者数は MM ロング 93 社・ショート 14 社ですが、前週の参加者数は供給されていないため増減は判断できません。
商業筋(Producer-Merchant / Swap Dealers)
Producer/Merchant のネットは -30,961 枚(前週 +328 枚)とほぼ横ばい、Swap Dealers のネットは -239,313 枚(前週 -5,884 枚)とショートを積み増し、商業筋合計は -270,274 枚(前週 -5,556 枚)です。今週は MM がネットを減らす一方で Other Reportables と小口がネットを増やしており、その買いの受け手になったのが Swap Dealers という構図です。13 週表では Swap のネットが 6 月 16 日の -190,516 枚から -239,313 枚へ、Producer/Merchant が -17,047 枚から -30,961 枚へと、価格上昇局面を通じて売り持ちを厚くしてきた趨勢が続いています。
その他の大口・小口
Other Reportables のネットは +96,988 枚(前週 +5,635 枚)と増加し、8 月 25 日の +98,587 枚に迫る水準まで戻しました。Non-Reportable(小口)のネットは +38,314 枚(前週 +1,720 枚)で、13 週表では 6 月 16 日の +27,343 枚から一貫して増加しています。今週の非商業側の買いは MM ではなくこの 2 カテゴリーが担った点が特徴です。
建玉と参加者
建玉は 411,227 枚で前週 -3,969 枚、2 週連続の減少ですが、4 週では +10,918 枚の増加で 1 年パーセンタイルは 51.0 とほぼ中位です。8 月 25 日の 427,957 枚をピークに約 16,700 枚が減っており、急落を経て市場全体の持ち高が軽くなりつつあります。参加者数は全体 305 社、上位 4 社の集中度はロング 19.3%・ショート 40.9% で、ショート側の集中度の高さは引き続き注目点です。
価格とポジションの関係
報告週は価格が +0.63% と小幅に上昇したにもかかわらず MM ネットは減少し、軽い乖離の週でした。ただし前回記事で触れた報告日以降の戻り(4,428.93 ドル)は今回の火曜終値 4,356.03 ドルまでに失われており、その戻り局面で買い増した形跡が MM に見られないのは整合的です。今回の報告日以降、価格は 4,348.37 ドル(報告日比 -7.66 ドル / -0.18%)とほぼ横ばいで推移しており、火曜時点でロングを軽くした判断は今のところ報われても裏切られてもいない状態です。ネットロングが 1 年レンジ上位を保ちながら価格の反発が鈍い点は、買い余力の観点から次週以降も見ておきたいところです。
報告日以降の直近終値 2026-09-12: 4,348.37(報告日比 -7.66 / -0.18%)
直近 13 週のカテゴリー別ネット(枚)
| 報告日 | 建玉 | MM ネット | P/M | Swap | Other | 小口 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026-09-08 | 411,227 | +134,972 | -30,961 | -239,313 | +96,988 | +38,314 |
| 2026-09-01 | 415,196 | +136,771 | -31,289 | -233,429 | +91,353 | +36,594 |
| 2026-08-25 | 427,957 | +144,747 | -34,558 | -245,027 | +98,587 | +36,251 |
| 2026-08-18 | 406,260 | +141,648 | -29,761 | -228,657 | +80,541 | +36,229 |
| 2026-08-11 | 400,309 | +137,662 | -27,935 | -224,705 | +80,278 | +34,700 |
| 2026-08-04 | 371,551 | +130,766 | -18,856 | -207,635 | +66,868 | +28,857 |
| 2026-07-28 | 384,603 | +119,795 | -20,549 | -191,760 | +62,275 | +30,239 |
| 2026-07-21 | 383,368 | +124,831 | -19,321 | -193,878 | +59,079 | +29,289 |
| 2026-07-14 | 383,689 | +120,779 | -19,149 | -195,639 | +65,903 | +28,106 |
| 2026-07-07 | 371,776 | +116,161 | -20,986 | -201,296 | +78,085 | +28,036 |
| 2026-06-30 | 369,541 | +120,091 | -17,046 | -204,024 | +73,928 | +27,051 |
| 2026-06-23 | 352,167 | +115,395 | -9,336 | -196,068 | +65,944 | +24,065 |
| 2026-06-16 | 339,330 | +113,721 | -17,047 | -190,516 | +66,499 | +27,343 |
データ
ネットロングが過去レンジの上端に近いほど「買い余力が少なく、巻き戻しが急になりやすい」。方向ではなく混み具合を読む。
出所: CFTC Disaggregated COT / TwelveData
| 項目 | 値(枚) | 前週差 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 建玉(OI) | 411,227 | -3,969 | 市場全体の参加資金の増減 |
| MM ロング | 145,804 | — | 投機筋の買い持ち |
| MM ショート | 10,832 | — | ショートカバーの燃料 |
| MM ネット | +134,972 | -1,799 | ロング − ショート。前週差と建玉前週差の符号で新規参入/手仕舞いを判別 |
| MM ネット 1 年パーセンタイル | 81.7 | — | 80 以上 / 20 以下が偏りの目安 |
| MM ネット 3 年パーセンタイル | 54.8 | — | 3 年レンジ: -26,767 〜 +219,029 |
| Producer/Merchant ネット | -30,961 | — | 現物ヘッジャー。構造的にネットショート |
| Swap Dealers ネット | -239,313 | — | 顧客の投資需要の鏡 |
パーセンタイルは過去 52 / 156 週のネットの分布内での位置。読み方の詳細は「COT レポート入門」第 2 章。
出所: CFTC Public Reporting API(市場コード 088691)
来週見るべきもの
-
MM ネットが 3 週連続で減少するか、それとも増加に転じるか
-7,976 枚、-1,799 枚と手仕舞いのペースは鈍っており、ここで買い戻しに転じれば 8 月の買い持ち構造の維持、続落なら 4 週ベースのマイナス拡大として構造変化の初期兆候になります。
-
建玉が 3 週連続で減少するか、4 週差がマイナスに転じるか
建玉は 427,957 枚から 411,227 枚へ細っており、4 週差 +10,918 枚が消えると価格の変動幅に対して持ち高の減少が続いていると判断できます。
-
Swap Dealers のショート積み増しと Other Reportables の買い増しが続くか
今週の買いは MM ではなく Other Reportables と小口が担い、その受け手が Swap Dealers でした。この構図が続くかで、投機筋の主役が入れ替わっているかを確認できます。
-
火曜終値が報告週の終値レンジ 4,356.03 〜 4,473.79 ドルのどこに位置するか
火曜終値が週内の下限にあった今週と同じく、価格の戻りが続かない中でネットロングが 1 年パーセンタイル 80 台に留まるなら、ポジションと価格の乖離が長引いているかを検証する材料になります。
次回: 報告日 2026-09-15(火)分が 2026-09-18(金)15:30 ET に公表予定
この記事の要点
投機筋は前週の急落後、ロングとショートの双方を軽くしつつネットロングの大枠(+134,972 枚、13 週で +29,109 枚)は保っています。1 年パーセンタイル 81.7 は混雑圏の一歩手前であり、買い余力が限られる一方で巻き戻しの余地も残る位置です。来週は MM ネットと建玉の減少が 3 週続くか、そして Swap Dealers と Other Reportables の逆向きの動きが続くかを、価格の戻りの強さと合わせて観察してください。
データ上の留保: MM の参加者数について前週の値が供給されておらず、参加者数の増減は判断できません。価格は XAU/USD の D1 終値(JST 日付)による概算であり、COT の基準時刻(火曜 NY クローズ)とは厳密には一致しません。ニュース・経済指標などの材料は供給されておらず、価格変動の背景は本記事では扱っていません。
用語と読み方: COT レポート入門 · COT レポートと建玉(ゴールド要因 第 7 章)