COT レポート解説 · 報告日 2026-09-01
公表 2026-09-04(金)15:30 ET記事作成 · 投機筋の偏り 買いに傾き · 今週の流れ 手仕舞い売り主導
急落週に投機筋はロングを手仕舞い、ネットロングは混雑圏の一歩手前へ後退
9月1日火曜時点のマネージド・マネー(MM)のネットロングは +136,771 枚と前週から -7,976 枚減少し、1 年パーセンタイルは前週の 89.4 から 83.7 へ低下しました。建玉全体は 415,196 枚(前週 -12,761 枚)と減少し、コード判定の 4 象限は「手仕舞い売り主導」(ネット減 × 建玉減)です。火曜→火曜の金価格は 4,658.64 ドルから 4,328.58 ドルへ -330.06 ドル(-7.08%)と急落しており、価格下落とロングの手仕舞いが揃った順行の週でした。ただし報告日以降、価格は 4,428.93 ドル(報告日比 +2.32%)まで戻しており、火曜時点で手仕舞った投機筋はこの反発を取り損ねた形です。4 週で見るとネットは依然 +6,005 枚、13 週では +24,592 枚の増加であり、投機筋の買い持ちの構造そのものはまだ崩れていません。
MM ネット
+136,771
前週 -7,976
1 年 / 3 年パーセンタイル
83.7 / 58.0
1 年レンジ +89,752〜+163,519
建玉(OI)
415,196
前週 -12,761
金価格(火曜→火曜)
4,329
-330(-7.08%)
投機筋の偏り
MM ネット +136,771 枚は 1 年パーセンタイル 83.7 で、crowded_long の目安(概ね 85 以上)をわずかに下回る水準まで後退しました。3 年パーセンタイルは 58.0 と中位で、1 年レンジ(+89,752 〜 +163,519)の中では上半分に位置しており、「買いに傾いているが極端な混雑ではない」と判断します。
今週の流れ(ネット × 建玉の 4 象限)
コード判定の 4 象限は「手仕舞い売り主導」で、MM ネットが -7,976 枚減る一方、建玉全体も -12,761 枚減少しました。これは新規に売りが積まれたのではなく、既存のロングが解消されて市場から資金が退出した形で、火曜→火曜の価格が -7.08% と急落したことと整合する順行のパターンです。MM ショートも -2,122 枚減っているため、ネット減はロングの解消(-10,098 枚)が主導したと読めます。
マネージド・マネー
MM ロングは 149,721 枚(前週 -10,098 枚)、MM ショートは 12,950 枚(前週 -2,122 枚)で、ロングの整理とショートの買い戻しが同時に起きています。ネットの変化は前週 -7,976 枚ですが、4 週では +6,005 枚、13 週では +24,592 枚の増加であり、8 月上旬からの積み増し分の一部を吐き出したにとどまります。13 週表を見ると、前週 8 月 25 日の +144,747 枚が 13 週間の最高水準で、そこから今週の後退となりました。MM ロングの建玉比は 36.1%、ショート比は 3.1% で、ショート側の薄さは変わっていません。参加者数は MM ロング 94 社・MM ショート 15 社ですが、前週の参加者数が供給されていないため増減は不明です。
商業筋(Producer-Merchant / Swap Dealers)
Producer/Merchant のネットは -31,289 枚(前週 +3,269 枚)、Swap Dealers のネットは -233,429 枚(前週 +11,598 枚)で、商業筋合計は -264,718 枚(前週 +14,867 枚)とネットショートを縮小しました。投機筋がロングを手仕舞う相手側で、商業筋がショートを買い戻す典型的な鏡像の動きです。13 週表では Swap Dealers のネットショートが 6 月 9 日の -181,736 枚から 8 月 25 日の -245,027 枚まで拡大し続けており、今週はその拡大トレンドに一服が入った形です。Producer/Merchant も 8 月に -34,558 枚まで拡大した後、今週は縮小に転じています。
その他の大口・小口
Other Reportables のネットは +91,353 枚(前週 -7,234 枚)で、8 月 25 日の +98,587 枚をピークに MM と同じ方向でロングを減らしました。Non-Reportable(小口)のネットは +36,594 枚(前週 +343 枚)とほぼ変わらず、急落局面でも小口はポジションを維持しています。
建玉と参加者
建玉全体は 415,196 枚で前週 -12,761 枚と減少しましたが、4 週では +43,645 枚の増加で、1 年パーセンタイルは 54.8 と中位です。8 月 25 日の 427,957 枚が 13 週間のピークで、そこからの減少は主に投機筋と Other Reportables のロング解消に対応しています。参加者数は全体 305 社、上位 4 社集中度はロング 19.2%・ショート 39.8% で、ショート側に商業筋の大口が集中する構図は継続しています。
価格とポジションの関係
報告週は価格が -7.08% と急落し、報告週の終値レンジは 4,328.58 〜 4,601.52 ドルと火曜の終値が週の最安値でした。前週に価格急騰と新規買いが揃って 13 週ぶりの高水準まで積まれたロングが、今週はその一部を解消に追い込まれており、価格とポジションの方向は一致した順行の週です。報告日以降は価格が 4,428.93 ドル(報告日比 +2.32%)まで反発しており、火曜時点で解消されたロングは反発の恩恵を受けられず、残されたロングにとっては含み損が一部軽減された形です。ネットが減った一方で価格が高値更新したといったダイバージェンスは今週は見られません。
報告日以降の直近終値 2026-09-05: 4,428.93(報告日比 +100.35 / +2.32%)
直近 13 週のカテゴリー別ネット(枚)
| 報告日 | 建玉 | MM ネット | P/M | Swap | Other | 小口 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026-09-01 | 415,196 | +136,771 | -31,289 | -233,429 | +91,353 | +36,594 |
| 2026-08-25 | 427,957 | +144,747 | -34,558 | -245,027 | +98,587 | +36,251 |
| 2026-08-18 | 406,260 | +141,648 | -29,761 | -228,657 | +80,541 | +36,229 |
| 2026-08-11 | 400,309 | +137,662 | -27,935 | -224,705 | +80,278 | +34,700 |
| 2026-08-04 | 371,551 | +130,766 | -18,856 | -207,635 | +66,868 | +28,857 |
| 2026-07-28 | 384,603 | +119,795 | -20,549 | -191,760 | +62,275 | +30,239 |
| 2026-07-21 | 383,368 | +124,831 | -19,321 | -193,878 | +59,079 | +29,289 |
| 2026-07-14 | 383,689 | +120,779 | -19,149 | -195,639 | +65,903 | +28,106 |
| 2026-07-07 | 371,776 | +116,161 | -20,986 | -201,296 | +78,085 | +28,036 |
| 2026-06-30 | 369,541 | +120,091 | -17,046 | -204,024 | +73,928 | +27,051 |
| 2026-06-23 | 352,167 | +115,395 | -9,336 | -196,068 | +65,944 | +24,065 |
| 2026-06-16 | 339,330 | +113,721 | -17,047 | -190,516 | +66,499 | +27,343 |
| 2026-06-09 | 332,709 | +105,863 | -19,300 | -181,736 | +67,974 | +27,199 |
データ
ネットロングが過去レンジの上端に近いほど「買い余力が少なく、巻き戻しが急になりやすい」。方向ではなく混み具合を読む。
出所: CFTC Disaggregated COT / TwelveData
| 項目 | 値(枚) | 前週差 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 建玉(OI) | 415,196 | -12,761 | 市場全体の参加資金の増減 |
| MM ロング | 149,721 | — | 投機筋の買い持ち |
| MM ショート | 12,950 | — | ショートカバーの燃料 |
| MM ネット | +136,771 | -7,976 | ロング − ショート。前週差と建玉前週差の符号で新規参入/手仕舞いを判別 |
| MM ネット 1 年パーセンタイル | 83.7 | — | 80 以上 / 20 以下が偏りの目安 |
| MM ネット 3 年パーセンタイル | 58.0 | — | 3 年レンジ: -26,767 〜 +219,029 |
| Producer/Merchant ネット | -31,289 | — | 現物ヘッジャー。構造的にネットショート |
| Swap Dealers ネット | -233,429 | — | 顧客の投資需要の鏡 |
パーセンタイルは過去 52 / 156 週のネットの分布内での位置。読み方の詳細は「COT レポート入門」第 2 章。
出所: CFTC Public Reporting API(市場コード 088691)
来週見るべきもの
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MM ネットの減少が 2 週目に入るか、それとも報告日以降の反発(+2.32%)を受けて買い戻しが入るか
1 年パーセンタイル 83.7 はまだ上位圏で、追加のロング解消が続くなら「混雑の解消局面」、買い戻しなら「押し目での再積み増し」と読み分けられるためです。
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建玉全体が 4 週 +43,645 枚の増加分をさらに削るか、415,196 枚前後で下げ止まるか
手仕舞い売りが続けば建玉減とネット減の組み合わせが継続し、逆に建玉増とネット増なら新規買いへの転換を示すため、4 象限の変化を確認する材料になります。
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MM ショートが 12,950 枚(建玉比 3.1%)から積み増しに転じるか
今週の下落局面でもショートは減少しており、投機筋の売り姿勢が薄いままです。ショートが積まれ始めるかどうかは、下落を「ロング解消」から「新規売り」へ性質が変わる兆候として観察できます。
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Swap Dealers のネットショート縮小(前週 +11,598 枚)が続くか
13 週表で拡大を続けてきた商業筋のショートが縮小に転じたことが、一時的な鏡像の買い戻しか、より長い巻き戻しの始まりかを判断する手がかりになります。
次回: 報告日 2026-09-08(火)分が 2026-09-11(金)15:30 ET に公表予定
この記事の要点
今週の COT は、前週に混雑圏まで積まれた投機筋のロングが -7.08% の急落を受けて一部解消された「手仕舞い売り主導」の週でした。ネットロングは 1 年パーセンタイル 83.7 と依然上位にありますが、極端な混雑からは一歩後退しており、来週は減少が続くか買い戻しに転じるかで局面の性質が分かれます。報告日以降の反発(+2.32%)と来週のポジション変化の組み合わせを確認することが観察の要点です。
データ上の留保: 参加者数(全体 305 / MM ロング 94 / MM ショート 15)の前週値が供給されておらず、参加者数の増減は不明です。価格は XAU/USD の D1 終値(JST 日付)による概算で、COT の基準時刻(火曜 NY クローズ)とは厳密には一致しません。ニュース・経済指標などの材料は供給されていないため、価格変動の要因については言及していません。
用語と読み方: COT レポート入門 · COT レポートと建玉(ゴールド要因 第 7 章)