COT レポート解説 · 報告日 2026-08-25
公表 2026-08-28(金)15:30 ET記事作成 · 投機筋の偏り 買いに大きく偏り · 今週の流れ 新規買い主導
急騰局面で投機筋は新規買い継続、ネットロングは1年上位の混雑圏に
8月25日火曜時点のマネージド・マネー(MM)のネットロングは +144,747 枚と前週から +3,099 枚増加し、1 年パーセンタイルは 89.4 と混雑圏に入りました。建玉全体は 427,957 枚(前週 +21,697 枚)と大幅に増加し、コード判定の 4 象限は「新規買い主導」です。火曜→火曜の金価格は 4,335.68 ドルから 4,658.64 ドルへ +7.45% と急伸しており、価格上昇と新規買いが揃った順行の週でした。ただし報告日以降、価格は 4,458.88 ドル(報告日比 -4.29%)まで反落しており、直近の高値圏で積まれたロングには逆風が吹いています。
MM ネット
+144,747
前週 +3,099
1 年 / 3 年パーセンタイル
89.4 / 65.1
1 年レンジ +89,752〜+163,519
建玉(OI)
427,957
前週 +21,697
金価格(火曜→火曜)
4,659
+323(+7.45%)
投機筋の偏り
MM ネットの 1 年パーセンタイルは 89.4 と目安の 85 を上回り、1 年レンジ(+89,752〜+163,519)の上位に位置します。3 年パーセンタイルは 65.1 と中位上寄りにとどまるものの、直近 1 年で見れば買い余力が限られる混雑圏と判断します。
今週の流れ(ネット × 建玉の 4 象限)
コード判定の 4 象限は「新規買い主導」(MM ネット +3,099 枚 × 建玉 +21,697 枚)でした。火曜→火曜の価格が +7.45% と急伸するなかでの新規買いですから、価格とポジションの方向は整合した順行パターンです。もっとも、価格の上昇率に比べて MM ネットの増加幅は小さく、上昇の主役が MM 以外の資金だった可能性も表から読み取れます。
マネージド・マネー
MM ロングは 159,819 枚(前週 +5,224 枚)と積み増しが続く一方、ショートも 15,072 枚(前週 +2,125 枚)と増えており、ネットの増加は +3,099 枚にとどまりました。4 週では +24,952 枚、13 週では +47,301 枚のネット増と、6 月初旬の +112,179 枚から一貫した買い基調が続いています。参加者数はロング側 89 に対しショート側 17 と、依然としてロング側に厚い構図です。ショートの小幅な積み増しは、急騰後の高値警戒とみられる逆張りの兆しとして注視に値します。
商業筋(Producer-Merchant / Swap Dealers)
Producer/Merchant のネットは -34,558 枚(前週 -4,797 枚)、Swap Dealers は -245,027 枚(前週 -16,370 枚)と、商業筋合計で前週から -21,167 枚のショート拡大となりました。13 週の推移では Swap のネットショートが 6 月初旬の -186,191 枚から約 5.9 万枚拡大しており、価格上昇に対してヘッジ売りを厚くする典型的な動きが続いています。P/M も 6 月下旬の -9,336 枚から一段とショートを深めており、現物サイドの売りヘッジ意欲は強まる方向です。
その他の大口・小口
Other Reportables のネットは +98,587 枚と前週から +18,046 枚の大幅増で、今週の買い越し拡大の主役でした。Non-Reportable(小口)は +36,251 枚(前週 +22 枚)とほぼ横ばいです。
建玉と参加者
建玉は 427,957 枚と前週から +21,697 枚、4 週では +43,354 枚の大幅増で、1 年パーセンタイルは 58.7 と中位から上位へ切り上がってきました。参加者数は全体 295 で、上位 4 社集中度はロング 18.8% に対しショート 38.8% と、売り方の集中度が高い構図が続いています。
価格とポジションの関係
報告週は価格 +7.45% の急騰に新規買いが伴う順行でしたが、MM ネットの増加は +3,099 枚と控えめで、値動きの割にポジションの伸びが小さい点は留意が必要です。買い越し拡大の中心は Other Reportables(+18,046 枚)でした。報告日以降は 4,458.88 ドルまで -4.29% の反落となっており、報告時点で高値圏に積まれたロングは短期的に含み損方向に振れています。この反落が来週の COT で手仕舞い(ネット減 × 建玉減)として現れるかが焦点です。
報告日以降の直近終値 2026-08-29: 4,458.88(報告日比 -199.76 / -4.29%)
直近 13 週のカテゴリー別ネット(枚)
| 報告日 | 建玉 | MM ネット | P/M | Swap | Other | 小口 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026-08-25 | 427,957 | +144,747 | -34,558 | -245,027 | +98,587 | +36,251 |
| 2026-08-18 | 406,260 | +141,648 | -29,761 | -228,657 | +80,541 | +36,229 |
| 2026-08-11 | 400,309 | +137,662 | -27,935 | -224,705 | +80,278 | +34,700 |
| 2026-08-04 | 371,551 | +130,766 | -18,856 | -207,635 | +66,868 | +28,857 |
| 2026-07-28 | 384,603 | +119,795 | -20,549 | -191,760 | +62,275 | +30,239 |
| 2026-07-21 | 383,368 | +124,831 | -19,321 | -193,878 | +59,079 | +29,289 |
| 2026-07-14 | 383,689 | +120,779 | -19,149 | -195,639 | +65,903 | +28,106 |
| 2026-07-07 | 371,776 | +116,161 | -20,986 | -201,296 | +78,085 | +28,036 |
| 2026-06-30 | 369,541 | +120,091 | -17,046 | -204,024 | +73,928 | +27,051 |
| 2026-06-23 | 352,167 | +115,395 | -9,336 | -196,068 | +65,944 | +24,065 |
| 2026-06-16 | 339,330 | +113,721 | -17,047 | -190,516 | +66,499 | +27,343 |
| 2026-06-09 | 332,709 | +105,863 | -19,300 | -181,736 | +67,974 | +27,199 |
| 2026-06-02 | 326,052 | +112,179 | -20,154 | -186,191 | +63,841 | +30,325 |
データ
ネットロングが過去レンジの上端に近いほど「買い余力が少なく、巻き戻しが急になりやすい」。方向ではなく混み具合を読む。
出所: CFTC Disaggregated COT / TwelveData
| 項目 | 値(枚) | 前週差 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 建玉(OI) | 427,957 | +21,697 | 市場全体の参加資金の増減 |
| MM ロング | 159,819 | — | 投機筋の買い持ち |
| MM ショート | 15,072 | — | ショートカバーの燃料 |
| MM ネット | +144,747 | +3,099 | ロング − ショート。前週差と建玉前週差の符号で新規参入/手仕舞いを判別 |
| MM ネット 1 年パーセンタイル | 89.4 | — | 80 以上 / 20 以下が偏りの目安 |
| MM ネット 3 年パーセンタイル | 65.1 | — | 3 年レンジ: -26,767 〜 +219,029 |
| Producer/Merchant ネット | -34,558 | — | 現物ヘッジャー。構造的にネットショート |
| Swap Dealers ネット | -245,027 | — | 顧客の投資需要の鏡 |
パーセンタイルは過去 52 / 156 週のネットの分布内での位置。読み方の詳細は「COT レポート入門」第 2 章。
出所: CFTC Public Reporting API(市場コード 088691)
来週見るべきもの
-
MM ネットが手仕舞い売りに転じるか
1 年パーセンタイル 89.4 の混雑圏で報告日以降 -4.29% の反落が起きており、ロング解消が始まれば巻き戻しが加速しやすい局面だからです。
-
Other Reportables の買い越しの持続性
今週の買い越し拡大の主役(+18,046 枚)であり、この資金が続くか反転するかで建玉全体の方向感が変わるためです。
-
MM ショート(現在 15,072 枚)の積み増しペース
2 週連続で増加傾向にあり、逆張りの売りが本格化すればネットの頭打ちを示すシグナルになるためです。
-
Swap Dealers のショート拡大が止まるか
価格反落局面ではヘッジ売りの巻き戻し(ショート縮小)が出やすく、商業筋の変化は価格の落ち着きどころを測る手がかりになるためです。
次回: 報告日 2026-09-01(火)分が 2026-09-04(金)15:30 ET に公表予定
この記事の要点
今週は価格急騰と新規買いが揃った順行の週でしたが、MM ネットは 1 年パーセンタイル 89.4 の混雑圏にあり、買い余力の乏しさから巻き戻しが急になりやすい状態です。報告日以降すでに -4.29% の反落が出ており、来週の COT でロング手仕舞いが確認されるか、それとも押し目買いで踏みとどまるかが最大の観察ポイントです。値動きの主役が MM 以外(Other Reportables)に移っている点も含め、カテゴリー別の変化を丁寧に追いたい局面です。
データ上の留保: ニュース・経済指標などの背景材料は未供給のため、価格変動の要因は特定していません。XAU/USD 終値は D1(JST 日付)ベースの概算で、COT の基準時刻(火曜 NY クローズ)とは厳密に一致しません。
用語と読み方: COT レポート入門 · COT レポートと建玉(ゴールド要因 第 7 章)