ゴールド(XAUUSD)中長期見通し 2026-10-04

実質金利2.88%・2年債4.78%(FF上限4.0%超=利上げ織り込み)という機会費用の層が支配的で、中銀買いと上海プレミアム+1.65%が下値を支えるものの、1〜3か月は4,400ドル以下のレンジで下方向に傾きやすい(mildly_bearish)。

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中長期見通し

分析時刻 · 1〜3 か月バイアス やや弱気

実質金利2.88%・2年債4.78%(FF上限4.0%超=利上げ織り込み)という機会費用の層が支配的で、中銀買いと上海プレミアム+1.65%が下値を支えるものの、1〜3か月は4,400ドル以下のレンジで下方向に傾きやすい(mildly_bearish)。

米10年実質金利は2.88%と極めて高く、2年債4.78%がFF上限4.0%を大きく上回ることで市場は利下げ打ち止め〜利上げ転換を織り込んでおり、金の機会費用は過去数年で最も重い。価格は日足MA50/200(約4,380〜4,395)・週足MA10(4,340)・月足MA12(4,443)のすべてを下回り、1Mリターン-4.85%、12M -16.96%、52週高値比-26%と中期トレンドは明確に下向き。一方でCOTマネージド・マネーのネットロングは6週連続で減少し3年パーセンタイル38.1と混雑感はなく、上海プレミアム+68ドル、中銀15か国12か月+235.6tの買いが3,950〜4,000ドル帯での底堅さを作っているため、崩落ではなく下方向への緩やかなレンジ調整を中心シナリオとする。

支配的な層: 機会費用の層(実質金利・FRB・インフレ) — CPI3.71%と上昇が続く中でBEIは2.36%に据え置かれており、インフレ上昇がそのまま名目金利上昇=実質金利上昇に転化している。中銀・現物需給は2022年以降の逆相関上書きをまだ維持しているが、6月以降の月足が4,000〜4,700の下方レンジに留まり、週足が高値を切り下げ続けている事実は、現時点では実質金利とドルが支配的であることを示す。

時間軸別の見立て

1 か月 やや弱気

3,900 – 4,350

週足ATR198.68×2〜3倍≒400〜600の幅。4,105〜4,125の支持帯を試す展開を中心に、割れれば4,022→3,950へ。上は4,290〜4,350の戻り売りゾーンが上限。10/8の9月FOMC議事要旨と政府閉鎖下の指標公表の有無が方向を決める。

3 か月 やや弱気

3,700 – 4,550

月足ATR596を基準に幅850程度。実質金利2.88%とドル高が続く限り3,950〜4,000の再テストと一時的な下抜け(3,700〜3,800)を想定レンジに含める。上限はFedの利上げ観測が剥落した場合の月足MA12〜週足MA40(4,440〜4,530)付近。

12 か月 中立

3,400 – 5,000

実現ボラ19.5%(年率)から±20%≒3,300〜4,950、月足ATRベースではさらに広い。方向は実質金利次第で二分される:インフレ再加速にFedが利上げで対抗し実質金利3%台が定着すれば3,400〜3,800へ、逆に債務GDP比122.6%下でFedが引き締めを続けられず期待インフレが上放れすれば中銀買いと合わせて5,000回復。現時点ではどちらとも判定できず中立。

9 つの要因の評価

› 実質金利 逆風 強

米10年TIPS実質金利 2.88%(前日差-0.05pt、2026-10-01)。名目10年5.24%に対しBEI2.36%で、金利上昇のほぼ全てが実質金利に乗っている。

見通し: 雇用統計下振れで小幅低下したが水準は依然極端に高い。2.5%を明確に割らない限り金の中期的な上値は重いまま。逆に3.0%超えへ再上昇すれば3,950ドルの再テストが視野。

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› FRB と米金利 逆風 中

FF上限4.0%に対し2年債4.78%(-0.10pt)。市場は利下げ停止〜利上げを織り込む。10月2日雇用統計は雇用者・失業率・賃金が予想下振れで利上げ観測は後退。10/8 3:00 JSTにタカ派的な9月FOMC議事要旨公表。

見通し: 雇用の弱さとCPI3.7%の綱引き。議事要旨で利上げ選択肢が明示されれば金は再度売られる。利上げ期待が剥落して2年債が4.5%割れに向かう場合のみ追い風に転じる。

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› インフレ 逆風 弱

CPI総合3.71%(前月3.54%、2026-08)、コアPCE3.01%(前月2.98%)と再加速中。しかし10年BEI2.36%・5年BEI2.37%は横ばい。

見通し: 期待インフレがアンカーされたままの再加速は『Fed引き締め→実質金利上昇』経路で金にはむしろ逆風。BEIが2.6〜2.7%へ上放れ(Fed信認低下)すれば追い風に反転するが現時点でその兆候はない。政府閉鎖でCPI公表が遅延するリスクあり。

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› 米ドル 逆風 中

広域ドル指数TWI 120.33(-0.18%、2026-09-25基準・やや古い)。高水準で金利高止まりに支えられている。ニュース要約でも『米金利高止まりとドル高を背景とした金の調整』がテーマ化。

見通し: ドルは金利差でサポートされ、雇用悪化でも大きく崩れにくい構図。TWIが118割れに向かえば金の下値支持要因、122超なら下押し。

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› 中央銀行の買い 追い風 中

IMF IRFCL追跡15か国の12か月純増+235.6t。中国2,386.6t(8月+20.2t、12か月+84.3t)、トルコ+18.9t、ポーランド+7.8t(12か月+132.7t)。ロシアは-6.2t/12か月-55.9tの売り手。WGC世界合計は未供給。

見通し: 中国・ポーランド・トルコの買いは価格が高値比-26%でも継続しており、4,000ドル前後の『価格に鈍感な買い』として機能。ただし1〜2か月ラグがあり、9月以降の継続は未確認。

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› ETF フロー 中立 弱

グローバル金ETF 1,056.55t(前日+0.8t、週次+2.0t、2026-10-01)。中国金ETF112.97t(前日-0.3t、14日前比-1.3t)。ダイバージェンス継続。

見通し: 週次+2tは事実上フラットで、西側投資家の買い戻しも投げも出ていない。中国ETFの小幅流出は現物プレミアム高と矛盾しており、個人の投資需要は弱い。週次±10t規模の方向感が出るまで価格を動かす要因にはならない。

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› 先物ポジション(COT) 中立 中

COT(2026-09-29)マネージド・マネー ネット+120,318(前週-7,071)、8/25の+144,747から6週連続減。1年パーセンタイル62.5、3年38.1(レンジ-26,767〜+219,029)。OI 406,456(-6,344)と縮小。

見通し: ロング解消が進んでおり強制的な巻き戻しリスクは限定的(下値を支える要因)。一方で新規ロングの流入もなく、上昇の燃料は乏しい。ネットが+100,000を割って3年パーセンタイル30以下まで落ちれば逆張り的な買い戻し余地が高まる。

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› 現物需要 追い風 中

上海Au(T+D)ドル換算4,206.06に対しロンドン4,137.60、プレミアム+68.46ドル(+1.65%)。時刻ずれを含む概算だが、下落局面でプラス幅が維持されている。

見通し: 中国の実需が4,100ドル台を割安と見ていることを示し、3,950〜4,100の支持帯を補強。プレミアムが+20ドル以下に縮小する場合は現物の下支えが弱まるサイン。

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› 地政学・リスク 中立 弱

VIX16.39と低位。HYスプレッド3.24%(+0.12pt)で小幅拡大。サウジのフーシ攻撃計画報道(10/2)、G7石油備蓄放出でWTIは91〜96ドルへ反落。米政府閉鎖は市場がほぼ無視。連邦債務GDP比122.59%。

見通し: 中東リスクは底流にあるが、VIXと株高(ダウ51,176)が示す通り現在は『リスクオフ=金買い』経路が稼働していない。イラン情勢が再燃しVIX25超・原油100ドル超となれば短期的に金へ資金が逃避するが、金利高止まりが続く限り持続性は限定。

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シナリオ

中心:レンジ下限再テストの緩やかな調整 50%

トリガー: 実質金利2.7〜3.0%、2年債4.5〜4.9%、TWI119〜122で推移し、金が週足終値で4,400を回復できない。COTネットロングが減少継続、上海プレミアムは+40ドル以上を維持。

到達想定: 3,950〜4,350のレンジ。1〜3か月で4,022〜3,950の支持帯を少なくとも1回試し、中銀・現物買いで下げ止まる。

弱気:利上げ転換でダブルボトム崩落 30%

トリガー: 9月FOMC議事要旨・10月FOMCで利上げ選択肢が明示され、2年債5.0%超・実質金利3.0%超・BEI横ばい。3,949.45を週足終値で下抜け、上海プレミアムが+20ドル以下に縮小。

到達想定: 3,600(2025年10月安値)〜3,750。3か月レンジ下限3,700を割り込む可能性。

強気:Fedピボット再燃と金利低下 20%

トリガー: 雇用悪化が続き利上げ観測が消滅、2年債4.4%割れ・実質金利2.5%割れ。週足終値で4,400を上抜け、グローバルETFが週次+10t超の流入に転じる。もしくはイラン情勢再燃でVIX25超。

到達想定: 4,530(週足MA40)→4,700(8月高値)。12か月では5,000回復も視野。

週足・月足の構造

週足 下降。2026-01高値5,597→3月5,418→4月4,888→8月4,696→9月4,514と高値を切り下げ、週足MA10(4,340、乖離-4.67%)・MA40(4,533、-8.73%)を下回る。直近週は4,286→4,111の下落で9/28の窓開け的な急落後に戻りが弱い。週足MA200(2,966)に対しては+39.5%と超長期の上昇トレンド自体は無傷。

月足 1月の5,597をピークに調整局面。月足MA12(4,443)に対し-6.87%。6月以降は3,949〜4,696の広いレンジで、6月安値3,949.45と7月安値3,959.59がダブルボトムを形成。10月は陰線で始まり(-0.5%)、レンジ下半分で推移。月次リターンは3月-11.3%、6月-11.8%、9月-6.6%と陰線月の下落幅が大きく、ボラティリティは依然高い(月足ATR 596)。

R: 4,290 / 4,395 / 4,530 / 4,696

S: 4,105 / 4,022 / 3,950 / 3,600

4,105〜4,125は3月安値4,104.82・9月安値4,111.80・10月安値4,125.92が重なる当面の分水嶺。割れると4,022(7〜8月安値帯)、次いで3,950〜3,960のダブルボトムが最終防衛線で、ここを月足終値で割ると2025年10月安値3,600までの空白地帯。上は4,290(9/28急落前の水準)回復が最低条件、4,340〜4,400(週足MA10・日足MA50/200・ニュース上の上値抵抗)を週足終値で上抜けて初めて下降トレンド否定。4,514〜4,533は9月高値と週足MA40の重複帯。

ポジションの混み具合

マネージド・マネーのネットロングは+120,318で8月末から約24,400枚(17%)削減済み、3年パーセンタイル38.1と中立〜やや軽い水準にあり、投機筋のロング投げによる連鎖安リスクは既にかなり消化されている。OIも406,456へ縮小し、グローバルETFは週次+2tの横ばい、中国ETFは小幅流出で、どの投資家層にも『混雑』は見られない。つまりポジション面は下値を加速させる要因ではないが、買い手不在のため反発も鈍く、ショートカバー主導の急騰には大きなロング解消の『余地』がまだ残っていない。

IMF 公的金準備 2026-08: 追跡 15 か国の 12 か月純増 +235.6 t(報告値のみ)

COT 2026-09-29: MM ネット +120,318(前週 -7,071) · 1 年 62.5pct / 3 年 38.1pct · OI 406,456

今後見るべきもの

この見立てが外れるとしたら

最大の反証リスクは、雇用統計の弱さが連続し市場が利上げ織り込みを一気に剥落させて2年債・実質金利が急低下するケースで、この場合ロングが軽い分だけ戻りは速く4,400を一気に上抜ける可能性がある。次に、債務GDP比122.6%とインフレ再加速の組み合わせが『Fedは十分に引き締められない』という財政支配ナラティブを再燃させBEIが上放れるケースで、名目金利高でも金が買われる2022〜25年型の相場に戻る。逆方向では、上海プレミアムとIMFデータに1〜2か月のラグがあり、中銀・現物の下支えが実は9月以降弱まっている可能性を排除できない。

データ上の留保: WGCの世界中銀購入合計および未報告購入の推計は未供給で、中銀要因はIMF報告15か国分のみで評価した。来週の高インパクトイベントは『該当なしまたは取得失敗』で、10月FOMCの日付も未確認のため、議事要旨(10/8)以外のイベント日程は判断に使っていない。ドル指数TWIは9/25基準で約1週間古く、中国ETFはキャッシュ値。YTDリターンは計算不能。政府閉鎖によりCPI等の公表遅延の可能性があり、インフレ要因の次回更新時期は不確定。